愛知で急増中のいわゆる「ぼったくり」被害。とはいえ認知されているのは氷山の一角です。もし被害に遭ったらどのように対処するべきなのか。ぼったくりの最新の巧妙な手口について、ぼったくりや消費者被害に詳しい正木健司弁護士に話を聞きました。
ナンパ待ちやマッチングアプリで一般の女性を装う
―――ぼったくり被害のほとんどが客引きなのでしょうか。
そうですね、具体的には街で声をかけているような客引きにつかまり、高額請求の被害を受けることがあります。最近では客引きスタイルを変えて「ナンパ待ち」の女性やマッチングアプリで一般の女性を装うようなケースもあります。
騙された人は知っている店に行こうと誘われてしまい、その店で高額請求や法外請求を受けることになります。基本的にぼったくりは、客と店の間に客引きのような第三者が関わっていることが多いことが考えられます。
―――ぼったくりに何か線引きはありますか。
愛知県には、ぼったくり防止条例があります。この条例では、客に酒類を提供して客に接待する店で料金表を事前に見せなかったり、客がそれを見て納得しなかったりするといった場合が「ぼったくり」であると考えられています。
ただ、業者側もそれをかいくぐり、ぼったくりを行う事案もあります。例えば、店の従業員がメニューをめくり、客に値段を示します。しかし、特別料金がメニューの最後に小さな文字で書いてあり、客がそれに気づくことができずに、後で高額請求をされる事例があります。
さらにガールズバーのような客の接待をしないという建前で、飲食店として営業許可を得て営業している店舗もあります。そのような店で、例えば客と女性がゲームなどを楽しんだあとに高額請求をされた場合は『接待を伴っていないため、ぼったくり条例違反ではない』と店側が主張するケースもあります。
―――ぼったくりに入らないような巧妙な手口を使われた場合、法外な料金を支払わないといけないのでしょうか。
決してそうではありません。ぼったくりに該当しないと店側が主張しているだけなので、民事上の支払い義務は発生しないと考えられます。
クレジットカードの使用はNG
―――法外な値段の部分だけ、支払わなくても良いという意味でしょうか。
適正な料金である飲み食いを行った分に関しては、支払う義務が当然あると思います。しかし、何十倍も高額な料金の分については、支払い義務がないと考えられます。
―――こうしたぼったくり被害に遭ってしまった場合、かなり怖い思いをするのではないかと思いますが、どのように対処すれば良いでしょうか。
大前提として、客引きにはついていかないことが先決だと思います。そうすることで、ぼったくり被害に遭うことは回避できると思います。
もしぼったくりの店に入ってしまった場合、とにかく何か理由をつけて外に出てもらうことが重要です。『手持ちのお金がないから』『コンビニのATMでお金を引き出してくる』といった理由も良いかと思います。そして、近くの方に助けを求めてもらうとが大切だと思います。
また、クレジットカードを使うことは控えてもらいたいと思います。カード会社に知らせて請求を止めるというのは手間がかかりますし、応じてくれない場合もありますのでご留意ください。
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