サッカーワールドカップで日本代表がスペイン代表に2-1で勝利し、アジア勢で初となる2大会連続の決勝トーナメント進出を決めました。
◆サッカー元日本代表・内田篤人さん&元日本代表監督・岡田武史さん
(Q.日本代表がスペイン代表に勝ちましたが、いかがですか)
岡田武史さん:ドイツ・スペインに勝つなんて、僕らの世代からすると夢のような話で、本当に満足しました。結果だけで充分です。
内田篤人さん:「勝負の神様は細部に宿る」と、岡田さんは日本代表監督の時にずっと言っていました。それを三笘薫選手が体現してくれました。三笘選手がいることによって、スペインはカウンターが非常に怖かったと思います。三笘選手は攻撃的な選手ですが、やはりディフェンス。対面する選手に食いついていました。そこら辺が勝利のカギだったのではないかと思います。
岡田武史さん:(コメントが)上手くなったね。たいしたもんだよ。
内田篤人さん:ありがとうございます。
内田篤人さん:勇気を持って前線からプレスに行く三笘選手の姿は、勇気を与えました。攻撃的な選手ですが、全員で守るということが非常にできていた試合なのではないかと思います。
(Q.勝利のカギをにぎった選手は誰だったと思いますか)
岡田武史さん:三笘選手が入ってから、つめの本気度、攻撃でも前に行く気迫、そこにちょっとでも抜いてたら、ああはなりませんでした。彼のこだわりのような姿勢がチームの雰囲気を変えました。
(Q.スペインに攻められる時間が多かったと思いますが、日本の守備をどう見ましたか)
岡田武史さん:皆さん「3バックだ」「4バックだ」と色々言いますが、どちらにしても守備の原則は、ボールへプレッシャーに行かないといけません。しかし、前半はちょっと後ろが怖くて、前からプレッシャーに行けませんでした。ところが、前半30分過ぎからいきなり、ストッパーの所へ田中碧選手が行ったら、その後にディフェンスが出ていくというふうに、前へ前へ行くようになりました。「あ、なんか変わり始めた」と。そこから本当に良い感じになって、メンバーも交代した後半の立ち上がりに、そのまま出たという感じでした。
内田篤人さん:岡田さんが監督の時にも、ディフェンスライン4枚にボランチを3枚並べたりしました。色々とありますが、僕はワールドカップは守備が裏切らないと感じています。岡田さんはどうですか。
岡田武史さん:ワールドカップというか、サッカーで守備はそんなに裏切らない。68メートルの幅を4枚で守るというのは、隙間を突かれる可能性があります。5枚並べるのを、ディフェンスラインで並べるのか、中盤で並べるのかという違いだと思っています。どちらにしても、何枚並べても、ボールに行かなかったらやられます。昨日のスペイン戦に関しては、途中からボールに勇敢に行きました。最初はちょっと腰が引けている感じがありましたが、勇気を持って出ていった。それが一番でした。
(Q.内田さんは試合後に「日本の守備の根性が見えた」と話していましたね)
内田篤人さん:ゴール前は非常にシビアな状況ですので、人数も大切ですし、システムも大事かもしれませんが、やはり危機管理能力というか、危ないところに誰が足を出すのか。本当に10センチ、1ミリが勝負を分けます。最後は安心していたというか、メンバーがこれだけ集中して守っていたら、点は取られないだろうなと思っていました。
岡田武史さん:最後、あれだけスペインが前へ入れない、縦に入れられない。僕もあまり怖くなかったです。しかし、内田さんの口から“根性”という言葉を聞くとは思わなかった。
内田篤人さん:魂なタイプです、僕は。
岡田武史さん:これだけスマートなのに。
内田篤人さん:いえ、とんでもないです。
(Q.しっかり守ってから、攻撃に転ずる。日本代表はかなり進化したと思いますが、どうみていますか)
岡田武史さん:皆さん、前半の立ち上がりを抑えて、後半行ったとか。多分、僕の中ではそんな問題じゃなくて、自然とそういう流れになったと思います。ただ、抑えている時も1失点までに抑えるとか、最後のところで体をはるとか、そういう基本的なことができるようになりました。一つは、内田さんなんかもそうだけど、海外に行って対等に試合をやって、メンタル的に負い目を持っていない。「ドイツ代表よりバイエルンミュンヘンの方が強いです」と選手が言うくらい。そういうところが一番大きいです。堂々と戦ってくれてるなと感じます。大越キャスターはこっち来ないの?現場主義でしょ?
大越健介キャスター:行こうと思ったんですけどね。本当に残念ながら。すみません。
岡田武史さん:まだ間に合うよ。
大越健介キャスター:ちょっと検討します。
(Q.森保一監督は「我慢してくれて、ありがとう」という言葉を吉田麻也選手にかけていました。日本の戦い方が強豪国のスペインやドイツに、ここまでハマっているのでしょうか)
岡田武史さん:恐らく我慢してというよりも、行けなかったところがあると思います。ところが、1点取られて、行かざるを得ない時に「行こうぜ」という共通認識ができて行くようになったと。その時のパワーが強烈でしたよね。この辺はかなり進化してるなと思いました。
(Q.そのパワーは監督の指示ですか。それとも選手同士でうねりとなって出てくるものですか)
岡田武史さん:それは監督と選手に聞かないと分かりませんが、森保監督はずっとチームを主体的に、選手が自立するチームを作りたいと言って、我慢してやってきました。恐らくそれが実を結んで、選手たちがあそこでやってくれたんじゃないかと思います。
(Q.今の日本代表の一番の強みはどこだと感じていますか)
岡田武史さん:これは不思議なもので、こうやって勝っていくと、どんどん一体感ができていきます。そして、お互いの信頼関係が強まっていきます。それは最初からあったものではなくて、勝っていくとできていくものです。このチームは苦しいなかを一緒に乗り越えてきた信頼感があるので、次もきっと行けると思います。
(Q.若い選手が臆していないように見えましたが、どう感じましたか)
内田篤人さん:先に言っておきます。時間をちょっとオーバーすると思いますけど、言わしてください。4大会連続で出ている川島永嗣選手にインタビューさせていただいたのですが「このチームは若い選手が非常に多くて、野心を持っている」と。Jリーグができて30年。僕が幼稚園の時にJリーグができましたけども、“ドーハの悲劇”を直接、見ていませんでした。そういった選手たちがヨーロッパに出て、自分たちがやれるということを、今大会で見せてくれているんじゃないかと思っています。若い選手は「強豪相手だからなんとか」ということじゃなくて「自分たちならやれる」「次も勝とう」という意識がすごい強く見られたので、今後も若手の勢いは必要になってくると思います。
(Q.森保監督からは「相手をリスペクトし過ぎるなよ」という声が飛んでいました。今の若い選手は、それが自然にできているということですか)
内田篤人さん:そうですね。僕も選手の時に「海外の選手は足が伸びるな」と。そういう時代はもう終わって、対等にやれる。ヨーロッパのビッグクラブでプレーする選手がいますので、チームメイトです。もうワールドカップは日常のレベルだと思っています。日常のプレーをすれば勝てるというのは、選手が一番よく分かっているかもしれません。
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