日銀が17~18日に開いた金融政策決定会合で、現在の金融緩和策の維持を決めました。物価高が続く中、今後の金利はどうなるのでしょうか。一方、黒田総裁の任期が4月に迫る中、次の総裁人事が焦点です。日本テレビ経済部の近野宏明解説委員が解説します。
■市場“利上げ”見通しも…日銀は緩和維持
藤井貴彦キャスター
「今回の日銀による決定を受けて、円安・株価上昇と大きく動いたようですね」
近野宏明・日本テレビ解説委員
「先週後半からの急速な円高・株安はなぜ起きたのでしょうか。市場が『18日に日銀が今の政策を見直して、利上げする』と見込んでいました。その結果が最近の円高・株安だったわけです。円が買われて、輸出関連株を中心に売りが広がっていたということです」
「でもフタを開けてみたら、日銀の金融緩和策は『変更なし』でした。これを受けて、18日の円相場は一時1ドル=131円台をつけました。株は買い戻されました。18日の日経平均株価は、前日比652円44銭高の2万6791円12銭で終えました」
■日銀「物価見通し」引き上げ さらなる“値上げ”見込み
近野解説委員
「この円安は、いつまで続くかは見通せません。もし、2022年春から秋にかけてのような円安傾向が続いていくとなると、いろいろなものを輸入に頼っている日本としては、“資源・食料価格などが高止まりしてしまうおそれ”があります。もしそうなると、私たちの家計にもズシン、ズシンとさらに響いてくるわけです」
藤井キャスター
「物価も、まだまだ上がっていくのでしょうか?」
近野解説委員
「日銀が3か月ごとにまとめる物価上昇率の見通しに変化がありました。2024年度については『1.6%』から『1.8%』に引き上げました。つまり、日銀は『今、相次いでいるさまざまなモノ・サービスのさまざまな値上げが、まだまだ先まで続きそうだ』と見込んでいることがうかがえます」
■大手金融機関「住宅ローン金利」引き上げの動きも
藤井キャスター
「一方、家を買って住宅ローンを組んでいる人、企業の融資に関係する金利はどうなのでしょうか?」
近野解説委員
「金利も心配ですよね。前回、12月20日の金融政策決定会合では、日銀が容認する長期金利の上限は『0.5%程度』まで拡大されました。これを受けて、市場は“事実上の利上げ”と受け止めていました」
「結果、何が起きているかというと、昨年の年末から大手金融機関では“住宅ローン金利を引き上げる動き”が出始めているわけです。市場関係者は『すぐに返済に困ってしまうような企業、あるいは企業の資金繰りができなくなるような急速な金利の引き上げは、現時点ではないだろう』などとみています」
■「次の総裁人事」が焦点 今後の金融政策は?
藤井キャスター
「18日午後に会見を開いた黒田総裁の任期は、『今年4月まで』と聞いています。つまり“今の金融政策はそこまで続いていく”ということですか?」
近野解説委員
「今後の日銀をめぐるスケジュールです。黒田総裁の任期は4月8日、2人の副総裁の任期は3月19日までです。任期直前の3月9日~10日、決定会合がもう1回予定されています。順当にこのまま行くと、次回の会合前に『次の総裁・副総裁の人事が決まる』とみられています。従って、『さすがに3月の会合で、大きな政策変更を今の執行部が行うことはないだろう』とみられています」
「次の総裁に誰がなるにしても、『賃金上昇をちゃんと伴った物価上昇』があって『金融引き締め』、つまり『利上げ』というプロセスを目指して行くことになります。『ゆるやかに変えていくのか』、あるいは『一気呵成(かせい)にスピーディーに行うのか』。その意味でも、次の総裁人事が焦点となってきます」
(2023年1月18日放送「news every. 」より)
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