世界の秩序が大きく変わる中、金融、安全保障、経済、政治全てがシンクロして動いている。目先の株価や事象だけでなく、視野を総合し、俯瞰することが自分自身や資産を防衛する上でとても重要な時代となってきた。
金融地政学とは、通貨発行権とその権益支配圏を確保するための国家戦略を紐解くツールである。
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法定通貨の信用は、その国の経済力と軍事力で裏付けられる。金融は経済の屋台骨であり、マネー(通貨)は血液である。基軸通貨の発行権を有する覇権国家が、世界の金融と軍事をコントロールする。
第二次大戦直後の米国は世界のGDPの約5割を占め、圧倒的な経済力と軍事力を誇った。しかし、戦後75年を経て、ドルを基軸通貨とした戦後の自由貿易体制が21世紀に台頭した中国を前に、大きく変わろうとしている。現在進行中の米中冷戦を、通貨と貿易をめぐる経済対立のみならず世界の地勢図を概観する地政学とセットで考察することが21世紀においては必要不可欠な見識だと言えるだろう。
【プロフィール】
株式会社SAIL代表、年金シニアプラン総合研究機構 理事、武蔵野大学客員教授、日本金融学会 会員
1981年、慶応大学法学部政治学科卒。83年、同大学院経済学研究科修士。
85年からフルブライト奨学生としてスミス・カレッジ、ジョンズ・ポプキンス大学院高等国際問題研究所(SAIS)に留学。87年、明治生命保険国際投資部に勤務。89年、格付け機関ムーディーズ(ニューヨーク本社)へ転職。以後、リーマン・ブラザーズ、キダー・ピーボディにて債券調査・営業を担当。
2001年4月、Strategic Alternative Investment Logistics(SAIL).LLCをニューヨークに設立。ヘッジファンドを中心としたオルタナティブ投資に関して、日本の機関投資家向けにコンサルティング・情報提供を行なう。
2007年、スイス大手プライベートバンク Union Bancaire Privee(UBP)東京支店営業戦略取締役。2009年1月、東京にてSAIL社の活動を再開。日本の金融・政治・経済の各分野で幅広い人脈を持ち、国際金融アナリストとして活躍している。
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